さまざまなウイルス感染症の拡大にともない、モノへの除菌対策として注目を集めるようになった次亜塩素酸水。次亜塩素酸水という名前は聞いたことがあっても、実は「どんな種類の除菌水なのか」「どんな次亜塩素酸水を選んだら良いか」わからない方が多いかもしれません。ここでは次亜塩素酸水の活用事例をご紹介します。
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸を主成分とする酸性水溶液です。無色の液体で、わずかに塩素のニオイがあります。次亜塩素酸の酸化作用により細菌やウイルスの除菌に有効であることは、ここ数年で一般的にもよく知られるようになりました。しかし、今から20年前の平成14年、日本では電気分解により生成された次亜塩素酸水が食品添加物(殺菌料)として指定されており、食肉加工場や水産加工場、農業施設などで食品添加物(殺菌料)として長年利用されていて、そのシェアは年々拡大傾向にあるようです。
食品添加物(殺菌料)として認可された次亜塩素酸水は下表の通りで、厚生労働省により使用基準および成分規格が定められています。
次亜塩素酸水 |
電解槽(生成極) |
被電解液 |
pH(水素イオン濃度) |
有効塩素濃度(mg/kg) | 認可状況 |
強酸性次亜塩素酸水(強酸性電解水) |
2室型(陽極) 3室型(陽極) |
塩化ナトリウム水溶液(<0.2%) |
2.2〜2.7 | 20〜60 |
・医療機器(手術時手洗・内視鏡消毒) ・食品添加物(殺菌料) |
弱酸性次亜塩素酸水 (酸性電解水) |
2室型 3室型 |
塩化ナトリウム水溶液 (<0.2%) |
2.7〜5.0 | 10〜60 |
・食品添加物(殺菌料) |
微酸性次亜塩素酸水 (微酸性電解水)
|
1室型 | 塩酸水 | 5.0〜6.5 | 10〜80 |
・食品添加物(殺菌料) ・特定防除資材 |
塩酸+塩化ナトリウム水溶液 | 30〜200 | ・食品添加物(殺菌料) |
参照:一般財団法人 機能水研究振興財団 電解水について表1 http://www.fwf.or.jp/kinousui.html
※有効塩素濃度ppmとは?
溶液の対する有効に働く塩素を示す量。水溶液でppmを用いる場合は、mg/L=ppmとなります。
※pH(酸性度)とは?
溶液の酸性の程度を示す量で、一般的には水素イオン濃度指数pH(ペーハー)が用いられます。
食品添加物に指定されている電解次亜塩素酸水だけで3つに区分され、さらに衛生管理用として使われる食品添加物指定外の高濃度次亜塩素酸水や非電解型を合わせると、さまざまな種類の次亜塩素酸水が流通されています。独立行政法人 製品評価技術基盤機構niteによる、新型コロナウイルスに対する有効性評価では、次亜塩素酸水の有効性を以下のように発表しています。
(2)次亜塩素酸水は、以下のものを有効と判断しました。
・次亜塩素酸水(電解型/非電解型)は有効塩素濃度35ppm以上
・ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは有効塩素濃度100ppm以上
なお、今回の検証結果を踏まえると、
次亜塩素酸水の利用に当たっては以下の注意が必要であることが確認されました。
①汚れ(有機物:手垢、油脂等)をあらかじめ除去すること
②対象物に対して十分な量を使用すること
引用:独立行政法人製品評価技術基盤機構NITE https://www.nite.go.jp/information/osirase20200626.html
※非電解型次亜塩素酸水とは?
混和型、粉末型など、電気分解以外の方法で作られた次亜塩素酸を主成分とする酸性の溶液。電解型でないため、食品添加物指定外となります。
このように、ウイルスの除去に有効な次亜塩素酸水は、生成方法や成分によって有効塩素濃度やpH(酸性度)が異なります。その生成方法や成分、濃度がどの程度なのかを確認して、正しく使用することが必要です。購入時や使用時に気をつけたい具体的なポイントをみてみましょう。
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と比べて、低濃度でもそれと同等の除菌力があります。その高い除菌力をもちながら、有機物に反応すると分解して水に戻る性質上、安全性も高い除菌水です。反面、時間の経過とともに有効塩素濃度が減少したり、紫外線に弱い性質のため、保管方法に注意し使用期限内に使い切る必要もあります。
参照:厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ モノに付着したウイルス対策
コロナウイルス対策に有効とされている次亜塩素酸水の濃度は、電解型の場合35ppm以上とされていますが、これはかけ流しで使用する場合の目安となります。スプレーボトルなどにいれて吹きかけた次亜塩素酸水で拭き掃除に使用する場合は、有効塩素濃度80ppm以上が有効とされています。厚生労働省、経済産業省、消費者庁から合同で発表された「次亜塩素酸水を使ってモノのウイルス対策をする場合の使用方法」をご紹介します。
【有効塩素濃度35ppm以上の次亜塩素酸水を使用】
1,汚れをあらかじめ落としておく
2,除菌したいモノに約20秒間かけ流す
3,表面に残らないようきれいな布やペーパーで拭き取る
【有効塩素濃度80ppm以上の次亜塩素酸水を使用】
1,汚れをあらかじめ落としておく
2,拭くモノの表面にヒタヒタになるまで十分な量を吹きかける
3,約20秒後きれいな布やペーパーで一方方向に拭き取る
金澤工業は、株式会社東芝のライセンスを受けた2隔膜3室タイプの連続式電解水生成装置「アクアプリータ」と、金澤工業が開発した1室タイプの卓上形電解除菌水メーカー「アクアプリータmini」を製造しています。食品添加物に指定されている次亜塩素酸水を生成できる製品もご用意しています。
アクアプリータは、すべてのタイプで2隔膜3室タイプの電解セルを採用し、未反応塩分を含まない電解酸性水と電解アルカリ性水を同時に生成できることが特徴です。ふたつの電解水は、それぞれの特徴を持ち、電解酸性水(次亜塩素酸水)は除菌や消臭に、電解アルカリ性水は油脂成分の脱脂や洗浄にご利用いただけます。
型名 |
酸性電解水 生成量 |
酸性電解水 有効塩素濃度 |
酸性電解水 酸性度 |
アルカリ性電解水 生成量 |
アルカリ性電解水 酸性度 |
食品添加物 生成対応機種 |
KEW-A009-1A | 約1.5L/分 | 約100ppm |
pH2.7-6.5 |
0.5L/分 | pH9-13 | |
KEW-A009-2A | 約3.0L/分 | 約50ppm | ● | |||
KEW-A009-3A | 約5.0L/分 | 約30ppm | ● | |||
KEW-A010-1A100 | 約1.5L/分 | 約100ppm | ||||
KEW-A010-1A 50 | 約50ppm | |||||
KEW-A010-1A 35 | 約35ppm | |||||
KEW-A010-2A 50 | 約3.0L/分 | 約50ppm | ● | |||
KEW-A010-2A 35 | 約35ppm | ● | ||||
KEW-A010-3A 30 | 約5.0L/分 | 約30ppm | ● |
※水道水の水温、水質により電解性能が低下したり、pH(酸性度)が出ない場合があります。酸性電解水を食品添加物(殺菌料)としてご利用される場合、事前に原水の水質確認が必要な場合があります。
卓上形電解除菌水メーカー「アクアプリータmini」
連続式(業務用)電解水生成装置のノウハウを基に開発したもので、小規模施設や各種店舗をはじめ一般家庭でも気軽にご利用いただけます。簡単な操作で1回に2リットルの次亜塩素酸水を生成します。標準濃度モードでは、有効塩素濃度約40ppm・pH5〜6.5の次亜塩素酸水を生成できるため、食材の除菌にもご利用いただけます。